若手社員インタビュー

「台風で面接に行けなかったのに採用された新卒社員と、自分のコンプレックスから良い本が作れそうな中途社員。二十代の二人が今の自分の仕事を本音で語る」

採用担当が、現代書林の若手社員二人に話を伺いました。
入社理由、この会社の魅力、今の仕事のやりがいや大変なところ、そして最後に就活生へのメッセージまで、率直な言葉を聞かせてくれました。

社員① Sさん

2019年4月新卒入社。管理部所属。
仕事内容:商品管理、営業事務、広報、少し経理と人事。
長所:割と人情味がある。短所:緊張しいでビビり。
気分転換の方法:自分が好きそうな音楽をディグる。偶然の産物が何よりもうれしい!

社員② Fさん

2023年7月中途入社。企画部所属。
仕事内容:書籍の企画、出版提案営業。制作進行に関われるよう奮闘中。
長所:楽観的。短所:人の顔と名前を覚えることが苦手。
気分転換の方法:電車に乗ってプチ遠出。

―― じゃあまずは、入社を決めた理由から教えてください。Sさん、お願いします。

S: 普段は運とか縁とかそれほど強く意識しないんですけど、就職活動は一つの縁だったなと思います。
あとは自分自身の納得感です。

―― その縁はどこで感じました?

S: 私が通っていた大学は東京から遠かったので新幹線で面接に行く予定だったんですが、台風で止まってしまったんです。

それで「新幹線が止まって面接に行けなくなってしまいました」と素直にお伝えしたら、面接の日を新たに設定していただいて、しかも集団面接の日程に合わせられなかったので、私一人の個人面接にしてもらいました。

台風ですごくマイナス評価されただろうなと思いきや、素直にきちんと伝えたおかげで好転したと思ってます。


―― その電話を受けた面接官本人の私からすると、全然本人のせいでもない理由で来られなくなったのに「行けなくなってすみません」と連絡をもらった時点で、「あ、すごくきちんとした人だ」って思いましたよ。

もし何も起きなかったら、そのSさんの良さは分かってなかったかもしれないと思うと、私としても最高のチャンスをもらいました (笑)
でも縁だけじゃなくて納得感もちゃんと得られたのはどういう点でしたか?


S: 選考で、実際の仕事を体験するフェーズがあって、「やってみてどうだったか」の感想を書きました。
それまでの関係性で、嘘を書くべきじゃないと感じていたので、素直に本音で答えられたんですよね。
「この仕事がすごく合うと思います」って、私書いてないんです。
(※補足 Sさんは自信がなかったようですが、適性があったので合格でした)

「入社してからこういうことをやるんだ」と想像できる機会があったし、素直に答えてもいいんだっていう安心感もあったのが、納得感に繋がっていたと思います。

―― じゃあ今度は、中途入社で今一番若手のFさんに入社の理由を聞いてみたいと思います。

F: 前職も出版社だったんですが、新しい場所でしっかりと本作りの力をつけたいと思っていました。
出版社の転職先が無いかと検索していて偶然見つけたのが現代書林で、取り扱う本のジャンルが幅広かったので転職を決めました。


―― 前職と本のジャンルは違いますか?

F: 違います。前の会社だと、会社の社史に近いような本を作ることも多かったんです。
現代書林だと、実用書や、実際に働くビジネスマンを対象としたビジネス書が多いし、それ以外のジャンルの本も取り扱っていることに興味が湧きました。


―― じゃあ、本作りのキャリアアップを目指しての転職なんですね。前職はかなりハードワークだったと聞いた記憶があるんですが……?

F: 人数は多くないのに業務の種類は多くて、本作りに注力できなかったんです。
もう少し業務を絞って、本づくりも著者とのやりとりも丁寧にできる場所に行きたいと考えていました。
 


―― そうなんですね。少人数ということなら現代書林もかなり小さいですけど、入ってみてギャップはありましたか?

F: 初めて面接で来社した時から、皆さん黙々と仕事をされている印象はありました。 


S: 分かります。そうですよね。
一人ひとりが黙々と業務をしてますし、なんなら社内より社外の人とのやり取りが多い日もあります(笑)

―― 今だとテレワークもしてるので、四,五人しか社内にいない日もありますからね。
確かに人数は十人ちょっとですけど、和気藹々とは少し違っていて、私も入社前に「静かだよ」って聞いてたんですけど、「本当に静かだな」って思いましたね。

F: イメージは変わってないということですか?

―― 変わってないですね。
そういう意味ではギャップというより、本当に静かなことが実証されただけ(一同笑)


S: いろんな人がそれぞれ勉強や調べ物してるような、図書館っぽい静かさがあって懐かしさも感じました。
出版社だから余計にかもしれないですけど。

F: でも、分からないところを誰に聞いても丁寧に教えてもらえるのは、良いところだと思いました。
業務外でも業務内でもコミュニケーションの機会を積極的に作っている雰囲気はあると思います。

―― それぞれの部署で定期的な会議があるので、まず仕事面ではしっかり機会を作ってますね。
管理部の会議だと「この際だから、全員に言うほどのことじゃないけど話したいニュース」を話すんです。
例えば「先週、子どもの運動会を見に行ったんです~」とか。 

 

F: 企画部会議でも「今日の一言」を持ち回りでやってますね。
この前は先輩がダイエットの話をしてました。 

 

S: コミュニケーションだったら、特徴的なのはチャットだと思います。

(※補足 現代書林では全社チャットを導入しており、テレワーク中でもコミュニケーションが希薄にならないよう、出勤時と退勤時は全員チャットで挨拶するルールがあります)

ただの「おはようございます」だけじゃなくて、業務に関係ない話題もちょこちょこトピックに上がりますよね。
それを読んでフフフってなってます。 

 

―― 特にMさん(企画部部長)が、映画や音楽の話を出しますよね。
わたしも知っていたら反応するんですが。
Sさんはオフの場ではよく会話が弾んでるので、もっと絡んであげたら喜ぶと思います。

 

S: 分かりました(笑)

―― じゃあ会社全体だとそんな感じですけど、Fさんは先輩たちとコミュニケーションを上手く取れてますか? 

 

F: そうですね。経験豊富な右隣の先輩にほぼ付きっきりで教えてもらって、一番年が近い左隣の先輩がぼそっとアドバイスしてくれる状況です。

最近だと、著者の方との会話で気をつけるべき言葉や、親密なコミュニケーションを取るコツを教えてもらいました。
分からないところ、良くなかったところは全部聞いて改善するようにしてますね。
 

 

―― 結構年が離れてる先輩が多いので、実は話しかけにくいと思ってたら嫌だなと思ってたんですけど、その辺は……? 

 

F: 大丈夫ですね。しっかりと最初から聞ける雰囲気を作ってもらいました。

 

―― それなら良かったです。ガンガン利用してやってください! 

―― じゃあこの会社の良いところとして、コミュニケーションの話も出ましたけど、あえて「魅力」を言うとしたらどうでしょうか?

S: ちょっと意外かもしれないですけど、「できる楽は積極的にしていきましょう」っていう土壌がありますね。

勘違いしないで欲しいのは、サボりましょうということじゃなくて、どんどん業務効率を上げていきましょう!ということ。
そのために新しいものを取り入れることに対して、すごくオープンでウェルカムな会社だと思います。
 
―― 「仕事は大変」という意識がありましたけど、でもただただ辛いものじゃないっていうのは、意外と働いてみると思いますよね。
 
S: ずっと辛いということは全くないですね。
例えば、慣れてきた作業に「何回連続ノーミスでこなせるか」のように、自分の中でちょっとしたハードルを設定するんです。
仕事だけどゲームの攻略法を考えることに似ていて面白くなります。
 
―― 分かるなあ。こっそりやるのが楽しいんですよね!

―― 次は、それぞれの仕事について聞いてみます。
プロフィールにお二人が携わってる仕事が載ってますが、言葉だけを見るとSさんの仕事は結構幅広いと感じますし、Fさんはまだ数ヶ月なのでこれからが本番ですね。


今、二人が自分の仕事をどんな風に感じてるか知りたいので、じゃあまずFさんからお願いします。

F: まず面白いところは、著者の候補の方に「こんな本を出しませんか」という提案や、「どんな本を想定してますか」というヒアリングをする。
そしてそれを出版したとしたら、著者と読者にどんなメリットが期待できるのか、それは世の中にまだなくて新しいものを提供できる本になっているのかを考える。
そうやってイメージした本を実際に形にできることです。
 
難しいのは、著者が素晴らしい考えを持っていて、書きたいと思っている内容もあるのに、「でもそれ読者にはあんまり届かないよな……」と思う内容が少なくないことです。
そこを調整するのは面白さであり難しいところ。
いける!と思っても大失敗なこともありますし。

―― それはMさん(企画部部長)がよく言ってますよね。

F: 色んな成功も失敗も聞いてるので、本を作る人は通る道なんだと思います。 

―― そこに分かりやすい法則があったらいいんですけどね……。
でも、まだ存在しないものを作り出す仕事で、その作り出すものが本っていうのは、やっぱり出版社で働くことの醍醐味だと思います。
前職での経験もあっても、ちゃんと読者目線に揃えるのは難しいですか?

 
F: そうですね。何回も著者の方と話してると著者目線に寄っちゃうので……。
でも読者と著者の考え、読みたいことと伝えたいことを上手く調整するために、フラットな目線を保つのが理想です。
 

―― じゃあSさんのお仕事はどうですか?

S: やりがいは、まだ世に出てない新刊が会社に届いてから、流通した後も長い目で見ることができることです。
だからこそ難しいと思うのが、売れ行きについてすぐ答えが出ないこと。
刊行してすぐに売れるものもあれば、何かの原因でぽっと売れ行きが上がるものもある。
ある程度長い期間の観察が必要だと思います。

本が売れてだんだん在庫が少なくなってくると、重版するかどうか決めないといけなくて、今までのデータから今後の予測を立てるんですけど、これも難しい……。
Tさん(管理部部長)から教わった時は、使うデータも予測の立て方も、初めて知ることだらけでした。

―― 予測には、例えばどういうデータを使うんですか?
 
S: 返品数です。これは本だからこそですね。
数カ月後にはどれぐらい返品されることが想像できるから、そのときには在庫はこれぐらいあることが想定できますよね、と考えていきます。
 
―― 「まだいらないな」なのか「この時点でもう足りなくなりそう」なのか、を考えるんですね。

S: 流れを見ていくのも大事です。
月ごとの納品数と返品数を出したグラフで、どんな流れになっているかを見るんですが、どういう数字だと良い流れなのかは今も勉強中です。
そうやって重版判断にも参加しているのは、私が入出庫の管理を任されていて日々の本の動きを見ているからで、入社後、最初は毎朝の倉庫への出庫依頼からスタートして、二年目には倉庫との窓口はほぼ自分になりましたね。 

―― 「倉庫」と聞いてもなかなかイメージが湧かないと思いますけど、現代書林も数十万部の在庫を持っていて、それは全部出版社の中にあるわけではないんです。
ほとんどが社外の倉庫に保管されていて、それが毎日、取次を通して書店に納品されたり、逆に書店から返品されたりして、増えたり減ったりしているんですよね。


実際にお二人も見に行ってもらいましたけど……本が積み上がってましたよね。

S: あれを毎日動かしていただいてると思うと、圧倒されますよね。

―― 書店とは全然違う形で、本を見ることになりますからね。
外部倉庫である以上、保管することにお金がかかっているんです。
何でも重版できれば楽なんですけど、ただただ増やしたら、その分うちが保管料でどんどん赤字になっていく。

だから注文や納品がたくさんあるからって重版してしまうと、別の書店から返品された時、在庫過多になる……Sさんの予測は、重版判断に不可欠な最重要な仕事なんです。

―― それでは、今、二人は実際に働いてるわけですけど、二十代の今の感覚で、なぜ働いてるのかって聞かれたらなんて答えますか?じゃあFさんからどうでしょうか?

F: そうですね……この質問が一番難しいです……。
でも私は最初の会社で、「生活のため」だけじゃ続かなかった人なんですよ。
「あんまり興味を持てない仕事だけどお金をもらえるから働く」という働き方はできなかったので。

今、出版社でいえば、いろんな人の考えや伝えたいこと、読みたいことを本という形にするのは面白い。
それに携われることが一つのやりがいなので、今働いてる理由を構成する一つだと思ってます。
でも模索中で、「このために働いてます!」っていうものは、まだ自分の中にできてないですね。


S: 構成要素の一つなんですね。

―― でもいくつか選択肢がある中で、「お金のためだけに働く」は違うんだな、と分かったのは良かったですね。

F: そうですね、まずひとつ選択はできましたね。 

―― 「本という形にする」の話でいうと、小説にしても、実用書やビジネス書にしても、自分の中だけでは絶対に生まれないものが納められてるものだということに、すごく不思議さを感じます。

F: 今、Mさん(企画部部長)と本づくりの勉強会をやってるんですけど、「どうやって本を作るのか」というテーマで議論したんです。

その中で、自分が疑問に思うことや、すごく知りたいことの芯の部分、あまり人には言わないようなことは、間違いなく他の人も実は知りたいことや、コンプレックスに思っている部分で、それを上手く形にできるようになったら、すごく良い本ができるんじゃないか、という話になって。
だから色々迷ってる人は色んな本が作れるんじゃないかと思ってます。


―― 困りごと解決の本は王道パターンだと思いますけど、自分の無意識の中にもそういうものが眠ってるということですか?

F: あると思います。
 
―― じゃあ自己分析も必要な訳ですね。

F: そうですね、あとは色んな人と話して、「それ、自分も思ってた!」っていうタイミングで見つかるんじゃないかな。 

―― じゃあSさんはどうでしょうか?
 
S: 私は主に、本ができた後の仕事をしてますけど、やっぱり自分じゃ本の流通もできないし、そもそも流通させる本も作れないしなって思うんです。
しかもそれを、普通に生活してたら会わない人たちと一緒にやってると思うと、自分の仕事はどれも会社に属してるからできることですね。
 
―― もちろん、社内の人は就職したからそこにいるわけで、そうじゃなかったら出会わなかった。
社外の人たちも現代書林と取り引きしていて、自分が担当者になったから接触している。
普段の生活で会うことは絶対にあり得ないですもんね。

働くからこそ新しい人と出会ったり、新しい自分を知ることになったりする。
何かを作り出すのとはまた違う面で、人間関係が築けることも、働くことの良いところですね。 

―― それでは最後に、就活中の学生さんにメッセージをお願いします。

S: 大きなことは全然言えないですけど……この文を読んでいる就活生の皆さん、現代書林を知って調べて……その時点で私はすごいなと思ってしまいます。
なぜなら私は就活するまで現代書林を知らなかったから(一同笑)
(※補足 採用担当も就活中に偶然DMが来るまで全く知りませんでした)

就活ではすごく肩の力が入ってしまうし、出版社の枠が少ないから頑張らなきゃと思ってしまうし、「絶対これがやりたいんだ!」って視野が狭くなりがちかもしれません。

でも現代書林は就活用の自分じゃなくて、普段通りの皆さんに会えることを楽しみにしている会社です。
ですので、肩の力を抜いて「先輩に会いに来た」くらいの気持ちで選考に来ていただければ嬉しいです。
そして最後になりますけど、説明会や選考の欠席連絡はしましょう!

―― 欠席したからこそ入社のチャンスを掴んだ本人が言うと説得力ありますね~。
 
S: 正直に言ってOKなので、怖がらずに言ってみましょう。

―― 誰も怒らないし、むしろ「ちゃんと連絡してくれてありがとう」と感謝されるから大丈夫です、現代書林に限らず。
もし怒られたら、そこには行かない方がいいかもしれない(一同笑) 

―― Fさんからもメッセージをお願いします。

F: どんな仕事をするにしても面白がることは大事だと思います。
そして、現代書林は何でも面白がれる人は特に力を発揮できる場所だと思います。

それからさっき言ったように、自分の中に色々なもやもやとした疑問や悩みがある人は、良い本の種をたくさん持っているということで、特に輝けると思うので、そんな方と働けることを楽しみにしてます。


―― 次の方が入ってくるまでに、ぜひFさんはバッチリ独り立ちしたカッコいい先輩になっといてもらえると嬉しいです!

F: バッチリ先輩になれるように頑張ります(笑)
 

―― それでは……すごくたくさんお話しいただけたので、この辺でインタビューを終わります!お二人とも、ありがとうございました!